ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。

さらに驚く話を聞かされて、つい田中さんの顔をまじまじと見入ってしまった。


離婚という単語が胸にズシンと重く響く。


知らなかった。まさか、この人の家族も壊れてしまっていたなんて。


「それでヤケになって甲斐先輩に告白したんです。どうせ転校するんだし、振られたって恥かいたって、もうどうでもいいやって」


「…………」


「甲斐先輩にそのことを打ち明けたら、すごく心配してくれたんです。自分の大事な人も今ちょうど親の離婚問題で苦しんでいるから、他人事に思えないって言ってました」


大事な人? それってあたしのことだろうか?


たぶん、そうなんだろう。きっと雄太は、あたしと田中さんの境遇を重ねたんだ。


「あの、失礼ですけど甲斐先輩の言ってた人って、もしかして橋元先輩のことじゃないですか?」


「あ……。うん、たぶん。うちの両親も離婚するから」


田中さんにストレートに聞かれて、おずおずとうなずいた。


あまり他人に言いたい話ではないけれど、同じ境遇の相手にだったら隠さずにいられる。


すると田中さんは「やっぱりそうだったんだ」とちょっぴり微笑んでから、話を続けた。