ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。

キメの細かい色白な肌。素直に伸びた真っ黒な髪。


目元や唇にほんのりと乗せた、淡い桜色のメイクがナチュラルでとても似合っている。


こうして改めて向かい合って話すと、やっぱり大人っぽい子だな。


しっかり者の雄太が好きになるのもわかる気がする。


そう思ったら、言葉にできない寂しさと切なさがどんどんあふれて、泣きそうになって唇を噛んだ。


彼女を恨む筋合いはないけど、うらやましい。うらやましすぎて嫉妬しかない。胸がジリジリ焼け焦げて痛い。


この子は、雄太が好きになった子。


あたしの好きな雄太が……。


「そ、それにしても、誰がバナナの皮なんか道路に捨てたのかなあ?」


田中さんを心底うらやましく思っている自分が悔しくて、あたしから無理に話題を振って話しかけた。


「悪いことする人もいるもんだね」


「そうですね」


「あたし、美化委員だから。そういう公共マナーを守らない人って信じられないよ」


「本当ですね」


「…………」


「…………」


すぐに会話は途絶えて、また沈黙が訪れる。


どうにも間が持たなくて、なんとなく目の前のテーブルの上に置かれたコーヒーカップを眺めた。


カップの中の黒い液体を見ながら、あたし、なにやってんだろって思う。