なんで?どうして? と考える前に、体が勝手に動いていた。
すごいスピードで曲がり角から体を引っ込め、壁際にドンと寄りかかり、両手で口を強く押さえてどうにか悲鳴をこらえる。
心臓はドクドク破裂寸前だし、背中にドッと冷や汗が浮かんで、頭の芯がジンジン痺れて眩暈がしそうだ。
まさか……こんな所にふたりがいるなんて!
あまりにも不意打ちな出来事にあたしはパニック状態。
どうすればいいかわからず、人形みたいに立ち尽くしていたら、静かな住宅街の空気を伝ってふたりの会話が聞こえてきた。
「甲斐先輩、今日はデートしてくれてありがとうございました。とっても楽しかったです」
「いや、こちらこそ楽しかったよ」
「お昼ご飯までご馳走してもらって……。まさか先輩と一緒に食事ができるなんて、まだ夢を見てるみたいです」
「大げさだよ。じゃ、今日はこれで」
「はい。また明日」
ふたりの声を聞いているうちに、どんどん心と体が冷たくなっていく。
会話の内容から察するに、ふたりは今日、デートしていたんだ。
ああ、やっぱりふたりは……。雄太の心は、もう……!
すごいスピードで曲がり角から体を引っ込め、壁際にドンと寄りかかり、両手で口を強く押さえてどうにか悲鳴をこらえる。
心臓はドクドク破裂寸前だし、背中にドッと冷や汗が浮かんで、頭の芯がジンジン痺れて眩暈がしそうだ。
まさか……こんな所にふたりがいるなんて!
あまりにも不意打ちな出来事にあたしはパニック状態。
どうすればいいかわからず、人形みたいに立ち尽くしていたら、静かな住宅街の空気を伝ってふたりの会話が聞こえてきた。
「甲斐先輩、今日はデートしてくれてありがとうございました。とっても楽しかったです」
「いや、こちらこそ楽しかったよ」
「お昼ご飯までご馳走してもらって……。まさか先輩と一緒に食事ができるなんて、まだ夢を見てるみたいです」
「大げさだよ。じゃ、今日はこれで」
「はい。また明日」
ふたりの声を聞いているうちに、どんどん心と体が冷たくなっていく。
会話の内容から察するに、ふたりは今日、デートしていたんだ。
ああ、やっぱりふたりは……。雄太の心は、もう……!


