ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。

「あたしは関先輩との未来がほしいから、今、告白しに行くよ! そして望む未来を勝ち取ってみせるよ!」


あたしの胸から離した手をグッと握りしめ、海莉は自分の胸をドンッと叩いた。


「で、もちろん応援してくれるんだよね? 瑞樹?」


小首を傾げてそう聞いてくる、かけがえのない大切な親友。


いつもあたしを見守って、キラキラの笑顔で励ましてくれる海莉。


その海莉が心から望むことなら、答えはひとつしかない。


「……うん」


あたしは頬に残った涙をゴシゴシ拭いて、うなずいた。


海莉の笑顔が見たい。


恋に破れて泣く海莉より、恋が叶って幸せそうに笑う海莉がいいに決まってる。


『どうせ将来、うまくいかなくなって別れるんだから』


そんな言葉を海莉には言いたくない。


海莉自身がそんな言葉も、そんな未来も望んでいないから。


だったら、今のあたしがしたいことは、ひとつだ。


「よかったら、告白現場まであたしもご一緒しますけど?」


同行を申し出ると、海莉が元気に右手を挙げた。


「ぜひお願いしまーす。途中であたしが怖気づいて逃げ出しそうになったら、ほっぺた思い切り引っ叩いてちょうだい!」


「了解! 全力でいくから任せて!」


あたしたちは声を上げて笑い、それからしっかりと手を繋いで中庭から歩き出した。