いきなり英語の文法みたいなことを言い出した海莉に、ポカーンとする。
そんなあたしの目の前で、海莉は腰にグッと手を当て、力強く両足を踏ん張った。
「今の先に未来があるんだから、その“今”を一番大事にするんだよ! 今が幸せじゃなきゃ、その延長線上の未来にだって、幸せなんか存在するはずもないじゃん!」
「…………」
「瑞樹は今、甲斐くんのことが好きなんだよね? 今一番大事なのはその気持ちなんじゃないの? 瑞樹にとってそれ以上に大事なものってある?」
海莉は腰に当てた手をあたしに向かって真っすぐ伸ばし、人さし指を胸にビッと押し当てる。
あたしはその指先を一心に見つめながら、思った。
いつかの未来、かけがえのない大切なものが壊れて、失ってしまうかもしれない。
失うくらいなら、大切なものを手に入れる危険なんておかさない。
それで間違いはないと思ったし、自分がやるべきことだと思った。
でもあたしの考えは、もしかして根っこから間違っていたんだろうか?
ううん。間違いか正しいかなんて判断はよくわからない。
けれど少なくとも、あたしが本当に望んでいたことじゃない。
そんなあたしの目の前で、海莉は腰にグッと手を当て、力強く両足を踏ん張った。
「今の先に未来があるんだから、その“今”を一番大事にするんだよ! 今が幸せじゃなきゃ、その延長線上の未来にだって、幸せなんか存在するはずもないじゃん!」
「…………」
「瑞樹は今、甲斐くんのことが好きなんだよね? 今一番大事なのはその気持ちなんじゃないの? 瑞樹にとってそれ以上に大事なものってある?」
海莉は腰に当てた手をあたしに向かって真っすぐ伸ばし、人さし指を胸にビッと押し当てる。
あたしはその指先を一心に見つめながら、思った。
いつかの未来、かけがえのない大切なものが壊れて、失ってしまうかもしれない。
失うくらいなら、大切なものを手に入れる危険なんておかさない。
それで間違いはないと思ったし、自分がやるべきことだと思った。
でもあたしの考えは、もしかして根っこから間違っていたんだろうか?
ううん。間違いか正しいかなんて判断はよくわからない。
けれど少なくとも、あたしが本当に望んでいたことじゃない。


