ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。

そうなのかもしれないけど、たしかなことはわからない。


今さらそんな、「なんで告白されたこと黙ってたの?」なんて追及するのも変だし。


田中さんが毎日雄太に会いに来るようになって、雄太のこと避けちゃってるから。


雄太に公開告白した田中さんの存在に引け目を感じて、雄太に近づけないんだ。


あのときあたしは逃げ出したのに、あの子は違った。あんなに堂々としていた。


そして彼女は雄太への好意を、なんのハードルも感じさせず真っ正直に発散している。


うらやましいとか、嫉妬とか、ネガティブな感情が入れ代わりでチクチク胸を刺すんだ。


自分がちっぽけで情けなく感じて、気が滅入る。


「それで瑞樹はどうするの?」


食べ終わったバナナの皮を臭い防止のビニール袋に入れながら、海莉が聞いてきた。


「どうするって、なにを?」


「甲斐くんのことだよ。このままでいいの?」


あたしは言葉に詰まって海莉を見た。


海莉は真っ直ぐな目であたしを見つめて、ストレートに聞いてくる。


「今まで甲斐くんと瑞樹は両片想いで、くっつくのは時間の問題だったでしょ? でも状況が変わったじゃん?」