ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。

つい大声を出しちゃって、周りがビックリしてこっちに注目する。


あたしはコソコソ肩をすぼめて、自分に集まった視線を受け流した。


やだ! あたしだけが知らなかったってこと!?


な、なんだか自分がバカみたい。今さら? 今さらこんなことに気がつく?


「海莉、なんで言ってくれなかったの?」


つい、責めるような口調になったあたしに、海莉が唇を尖らす。


「言わないよ! わざわざそんな微妙な話題、どんな顔して切り出すのさ。瑞樹から言い出すならともかく」


そりゃそうだ。


雄太に片想いしているあたしに向かって、あえて海莉からそんな痛い話題を振れないや。


「てっきり瑞樹も知ってると思ってたよ。知ってて黙って受け止めるなんて、鋼のメンタルだなーって感心してたんだけど」


「それ、勘違いだよ。自慢じゃないけどあたし、メンタルは豆腐や生クリームといい勝負」


ガックリと頭を抱えるあたしに、海莉がしみじみした声で言う。


「だよね。ちょっと変だなとは思ってたんだけどさ。甲斐くんもそんな瑞樹の気持ちに配慮して、なにも言わなかったんじゃない?」