ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。

それはつまり訳せば『あたしは全面的に瑞樹の味方です』って意味で。


そういう海莉の気持ち、理屈じゃなくすごくうれしい。気持ちがフッと楽になる。


……自分が好きな男の子のことを、自分以外の女の子も、好き。


それがこんなに苦しいんだってことを、今さらになって思い知ってるんだ。


雄太は昔から女の子に人気があったけど、これまで誰とも付き合ったことなんてなかったし。


「ま、甲斐くんの方はあの子のことなんて、べつになんとも思ってないだろうけどねー」


三本目のバナナに手をつけた海莉が、『ざまーみろ』って顔をした。


田中さんと話してるときの雄太は、上級生らしい穏やかな態度だ。


いつも優しく微笑んでいるけれど、特に彼女に対して特別に接しているようには見えない。


……と思う。あたしがそう思いたいだけかもしれないけど。


なんていうか、これまでは雄太の表情を見ればだいたい考えていることがわかったのに、今回は自信がないんだ。