「瑞樹。ねえ、大丈夫?」


海莉の心配そうな声が聞こえたけれど、答えることができない。


あんまり……というか、かなり大丈夫じゃないから。


雄太の隣に、あたしじゃない女の子が立っている。


その光景は、ムカデ競争に参加した先生たちがドミノ倒しになってる姿なんかより、よほど刺激が強いんだ。


まるで風の強い日の水面みたいに、心の表面がザワザワと乱れている。


その不規則な乱れが、強い不安と痛みを生む。


あたしはとにかく必死に胸の痛みをこらえながら、唇を固く結んで、ふたりの姿を見つめ続けているよりほかに、なかった。