ホッとした様子の生徒会長に、雄太が「いや、そんな」と照れたように微笑む。


素直そうな表情が幼い頃と重なって見えて、『かわいいな』なんて思っちゃう。


ちょっと胸の奥がキュンとした。


あたしと幼なじみの雄太は小さい頃からすごく仲良しで、誰よりも一緒の時間を過ごしてきた。


お互いの親同士も交流が深いし、もう家族も同然。


幼稚園、小学校、中学校時代の様々なふたりの思い出が、あたしのアルバムの中に数えきれないほど収められている。


そして去年の春、あたしたちは当たり前のように同じ高校に進学した。


目立たない一般生徒のあたしと違って、雄太は一年生の頃から生徒会役員として活動している。


「いや、マジメな話さ、うちの役員全員お前のこと一番信頼してんだよ。来年の生徒会長はお前で決まりだわ」


生徒会長のお褒めの言葉に、あたしは心の中で『でしょ!? でしょ!?』と胸を張った。


いや、べつにあたしが褒められてるわけじゃないんだから、あたしが得意になるのも変な話なんだけど。


でも雄太はあたしにとって、本当に自慢の幼なじみなんだ。


だって勉強もスポーツも優秀だし、性格も真面目で努力家だし。


大人っぽくて落ち着いた雰囲気も、『頼りがいのあるヤツ』って思われる大きな要因だ。


文武両道でしっかり者。さらに高身長でスタイル良し。


これだけでもう充分に恵まれすぎなのに、トドメに顔面偏差値までが超お高い!


女子にも人気の高いまるで王子様みたいなこの幼なじみが、あたしの初恋の相手。


フラワーガールとリングボーイをした日から、ずっと雄太に片想いしてる。


ナチュラルに流した前髪と、クッキリした二重瞼の黒い瞳が日の光を受けてキラキラしている姿を見たら、あの結婚式の日のように胸が高鳴った。