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林の中で息を殺していると、時間だけが刻々と過ぎて行く。


手には万引きしたカッターナイフが握られていて、いつ襲われてもいい体勢は整っていた。


しかし、周囲に変化は訪れず、時々聞こえて来る学校のチャイムに耳を傾けていた。


さっき4時間目が始まるチャイムを聞いた。


次のチャイムが鳴れば正午だ……。


あたしはカッターナイフを両手でキツク握りしめた。


スマホの電源はずっと落としっぱなしだ。


怖くて確認することもできない。