痛みに絶叫し、必死になって野犬を振り払う。


噛まれた腕からは鮮明な血が流れ出していた。


人間が食べられない世界なのだ、犬が満足に食事をできているワケがなかった。


腹を透かせた3匹の野犬に、額から汗が流れて行った。


「どうして犬が残ってるの……」


お尻を地面についたままゆっくりと後退しながら呟いた。


野犬でも飼い犬でも、身近にいる動物たちは食料になっているはずだ。


それでもこうして生き残りはいたのということなんだろう。


本来なら人間の食料になる動物が、今はあたしを食らおうとしている。