強制食料制度

☆☆☆

少し眠っていたようだった。


夢の中であたしは自分の部屋にいて、暖かなベッドの中で横になっていた。


自然災害も少なく、食糧難なんて考えもしていなかったあの頃の夢だった。


楽しい家族の団らん。


両親との何気ない日常会話。


それらが走馬灯のように流れて行った。


当たり前だったあの頃を思い出して、当たり前こそ幸せだったのだと感じている自分がいた。


もう少しこの夢を見ていたい。


そう思っていたのに……。


あたしの眠りは何かの唸り声によってかき消されていた。