☆☆☆

念のため靴を鞄に入れておいてよかった。


屋敷を出たあたしは鞄から靴を取り出して履いた。


せっかく温もっていた体は外気にさらされ、一瞬にして手足の先が冷たくなっていた。


「どこか安全な場所を探さないと」


そう呟いて歩き出す。


家々の明かりは消えていて、街は寝静まっている。


そんな中あたしは1人帰ることもできずに彷徨い歩いた。


安全な場所なんて本当にあるのかな?


日本中の人が敵なのに、あたしに安全なんてあるのかな?