あたしからの電話だとバレると、大変なことになるのだろう。


なんとなく予想がついて、胸が痛んだ。


「良、お願いがあるの」


『唯香は今の状況をちゃんとわかってる? キミは全国民から狙われてるんだ』


「わかってる! だから助けてほしいの!」


そう言うと沈黙が訪れた。


あたしと電話をするだけでコソコソしなければならないのだから、助けることなんてきっとできないのだろう。


だけど、あたしもここで引きさがることはできなかった。


『具体的にはどう助けてほしいんだよ?』


その言葉にホッと胸をなで下ろした。