「今日どこで寝よう……」


できれば暖かな場所がいいけれど、そんな贅沢を言っていれば捕まってしまうリスクは高くなる。


寒さを我慢して、人目につかない場所を選んだ方がよさそうだ。


公園の草むらか、山の麓にある廃墟か……。


「とにかく歩こう」


あたしは自分に言い聞かせるようにして口に出して言い、立ち上がった。


ずっと同じ場所にいると危険が増すような気がする。


公園を出ようと歩き出した時、ベンチの横にある緑色のゴミ箱に視線を向けた。


読み終わった新聞がそのまま捨てられている。


持って行けば少しは暖かいかもしれない。


そう思い、躊躇しながらもゴミ箱に手を伸ばす。