あたしは電柱にもたれかかって大きく深呼吸をした。


あれは犯罪だ。


すぐに警察に言わないと……。


そう思うのに、足は動かない。


警察に行けばこれから何時間も拘束され、事情を説明する必要があるだろう。


そうなるとあたしは逃げる時間が減ってしまうのだ。


警察に行っている暇なんてない。


あたしは吐き気をグッと抑え込み、再び歩き出したのだった。