そっと立ち上がり、音がする方へと歩みを進める。


音は次第に大きく聞こえ始め、ペチャペチャと水音のようなものが加わりはじめた。


「うまい。久しぶりの飯だ」


男の声が聞こえて来た。


それに同意するような声も聞こえて来る。


相手は1人じゃないようで、あたしは息を殺して曲がり角を顔だけのぞかせた。


その先は思っていた通り行き止まりになっていた。


しかし、その手前の路地に2人の男がしゃがみ込んでなにかしているのだ。


なにをしてるんだろう……。


目をこらして確認してみる。


周囲はオレンジ色に染まり、その中に浮かんできた光景は……人を食らう、人の姿だった。