☆☆☆

走って走って走って、またあたしは1人になっていた。


ひと気のない裏路地に身を滑り込ませてその場に座り込む。


日は沈み始め、空はオレンジ色に染まっていた。


「どうしよう……」


このままじゃ夜になってしまう。


家に帰りたい。


だけど帰ればあの男みたいなヤツがいるかもしれない。


そう思うと、もう一歩も歩くことができなかった。