強制食料制度

その時、足音が近づいていることに気が付いた。


『唯香ちゃぁん?』


スマホから聞こえて来る声と、外の声がリンクする。


え……?


あたしはそっとスマホから耳を離した。


なんだか嫌な予感がする。


だけどここはトイレだ。


逃げ道はどこにもない。


「みぃつけたぁ!」


次の瞬間、ガリガリに痩せた若いスーツ姿の男が顔を覗かせていた。


ギョロリと飛び出た目があたしを捕らえる。