強制食料制度

でも、さっきの桃菜のメッセージが頭の中にめぐっていた。


「うちはまだ大丈夫。だって、今朝だってご飯を食べたんだから」


確かに質素な食事だったけれど、お米はあるのだ。


実の娘を殺して食べるなんてもっと極限に陥ってからのことだろう。


……電話に出よう。


いまだ鳴り続けている電話にゴクリと唾を飲み込んだ。


震える指先で受話器ボタンをタップする。


「も、もしもし?」


自分の声もひどく震えている。


『もしもし? 唯香ちゃん?』