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12月上旬。


朝から天気が悪く、寒さが増したように感じられる日だった。


「ターゲットになったらあんな風になるんだ……」


あたしは逃げて行った男を見てそう呟いた。


「唯香、そんなにジロジロ見たい方がいいよ?」


一緒にいた西原桃菜にそう言われてあたしは視線を外した。


あたしと桃菜は同じ大森高校に通う17歳。


2年3組の生徒だ。