随分とお腹が膨らんで来た時、人の気配がして振り向いた。


しかし河川敷には誰もいない。


あたしは警戒心を解かずにゆっくりと立ち上がった。


口についた血を服の袖で拭い、周囲を確認する。


もしかしたら里美が他の仲間をつれて戻って来たのかもしれない。


キョロキョロと周囲を見回してみると、頭上から物音が聞こえて来た。


顔を上げてみると欄干からこちらを見下ろしている男がいる。


……良だ!


逆光ですぐには誰だかわからなかったけれど、あれは間違いなく良だ。