強制食料制度

どうしよう。


また人を殺してしまった。


だけどこれは生きるため。


自分のため。


和文のときのようにそのまま逃げてしまえばいい。


頭では理解していた。


今すぐに逃げるべきだ。


しかし、あたしの足は一歩も動かなかった。


逃げようとすると、脳裏に舞奈ちゃんの姿が浮かんできた。


ガリガリに痩せてお腹を空かせていた舞奈ちゃん。


人間は美味しいと言っていた舞奈ちゃん。


元子の死体を持って行ってあげることができれば、喜ぶかもしれない……。