強制食料制度

「元子……?」


もう1度名前を呼び、元子の口に耳を近づける。


呼吸をしていないのがすぐにわかった。


「人殺し!」


そんな声がして顔を上げると、真っ青になった里美がいた。


さっきまで気絶していたのに、目が覚めてしまったようだ。


「里美、元子が……」


「近づかないで!」


あたしが立ち上がると後ずさりをする里美。


里美はジリジリと後退していき、そのまま逃げて行ってしまった。


「助かったの……?」


あたしは元子の死体を見下ろしてそう呟いた。