強制食料制度

「学校はもう終わったの?」


あたしは何気ない会話を続けようとしてそう言った。


「あたしたちは行ってないよ。勉強したって意味ないし」


元子がそう答える。


今の状態ではそうかもしれない。


いくら勉強しても、いい会社に入っても、食べ物がないのだから意味がない。


「会社も倒産が相次いでるんだってね」


あたしはさっき読んだ新聞の内容を思い出してそう言った。


子会社はもちろん中堅会社も次々と倒産し、日本国中で浮浪者が増えてきているらしい。


「会社なんてどうでもいい」


里美がそう言い、一歩前に踏み出した。