強制食料制度

声をかけたい衝動に駆られる。


あたしは元気だよ。


まだ生きてるよ。


そう言いたかった。


でも、そんなことをすればみんなに迷惑がかかるだろう。


あたしが入って行くことで、我を失って人肉を食べ始める人もいるかもしれない。


みんな一様に頬がコケ、やつれているのだから。


「ありがとう……」


あたしは小さな声でそう言い、家からそっと離れたのだった。