「ねぇ、お姉ちゃんのことも食べていい?」


あたしの腕の中で舞奈ちゃんがそう訊ねて来る。


「ごめん……それは無理なの」


本当は、桃菜の母親のように誰かのために犠牲になるべきなんだろう。


《強制食料制度》はそのための法律なんだから。


「ごめんね。なにもできなくて」


あたしは舞奈ちゃんへそう言い、そっと手を離したのだった。