強制食料制度

右手には歯型がクッキリと刻まれ、血が滲んできている。


引きちぎるくらい強く噛まれたようだ。


舞奈ちゃんはランランと輝く瞳をこちらへ向け、口元についた血を舌で舐め上げた。


「おいしい」


そう言ってほほ笑む舞奈ちゃんに寒気を感じる。


「なに言ってるの。人間なんておいしいワケないじゃん」


そう言う自分の声は震えていた。


こんな小さな子にまで怯えなければならないのが、情けない。


「人間は美味しいんだよ。知らないの?」


それはまるで人間を食べたことがあるような言い方だった。


でも、そんなことあるはずない。