強制食料制度

こんなときでも子供って天使なんだなぁ。


そんなことを考えながら舞奈ちゃんの髪の毛を撫でた。


細くて柔らかな髪。


「お腹減った」


舞奈ちゃんの一言にあたしは凍り付いてしまった。


「そうだよね……」


今朝食べたのはモヤシを数本だけだった。


桃菜の家でも家庭菜園を行っていたようだけれど、お米はすでに切れていてモヤシだけで生き延びてきた様子だ。


子供の舞奈ちゃんでも全然足りていないのに、あたしなんかを助けたばっかりに……。


和文から奪った食料をすべて投げ捨ててしまった事が、今更ながら悔やまれた。


「昨日まではね、ご飯あったんだよ」


「そうなの?」