強制食料制度

「その後、桃菜が助けてくれたの?」


そう聞くと桃菜は頷いた。


あたしを狙っていた人たちがいなくなったから、下流の河川敷へ向かうとあたしが川岸に打ち上げられていたそうだ。


「唯香を見つけられて本当によかった。あのまま死んじゃうんじゃないかと思ったんだから」


そう言う桃菜の目には涙が浮かんでいる。


本気であたしのことを心配してくれていたようだ。


それに、こうして生きて目覚めたのだから桃菜はあたしを食べる気はないということだ。


それだけであたしは安心できた。