☆☆☆

キッチンへ視線を向けると、そこには和文の死体が転がっている。


さっきから同じポーズのまま少しも動いていないから、本当に死んでしまったのだ。


あたしが殺した……。


再び震えそうになる体を抱きしめて、あたしはそっとキッチンへ足を踏み入れた。


和文に用意させた食料と、包丁を手に持ちキッチンを出る。


学生鞄に入れたままの食料も袋に入れ替えて、あたしは隣の部屋へと移動した。


そこは夫婦の寝室のようで、鏡台や小さなテレビが置かれている6畳ほどの部屋だった。


ふすまを開けてみると、和文の母親のものと思われる服があり、それを着た。


制服から私服へ着替えるだけでも、あたしだと気づかれるリスクは少なくなる。


あたしは鏡台の前に座ると剃刀を手に取った。


それを髪の毛にあてがい、躊躇なく切った。