隣の居間に足を踏み入れた時、先ほどのデジカメが投げ出されているのが視界に入った。


「……わかった。もう、抵抗しないから」


あたしはそう言い、カッターナイフを畳みに落とした。


和文の笑みが増す。


「そうか、いい子だ」


それでも警戒しているのか、和文は包丁を置こうとはしない。


「写真も撮っていいから」


あたしはそう言い、そっと膝を曲げてデジカメに触れた。


次の瞬間。


あたしは和文へ向けてそのデジカメを投げつけていた。