そう言えばキッチンの近くには小さなプランターが置かれていて、夏にはミニトマトがなっていたっけ。


少し安堵した、そのときだった。


『このままでは富裕層以外の大部分の家族が満足に食べられなくなるだろう』


首相の言葉に背中が寒くなった。


『私たち政府はやむ終えず新しい法律をつくることに決めた』


首相の声は大きくなり、あたしはゴクリと唾を飲み込んだ。


楽しいはずの団らんの雰囲気はリビングから消え去っていた。


『新しい法律を《強制食料制度》と名付ける』


「強制食料制度……?」