「改装を繰り返してるからだ。昼、なにか食べたのか?」


和文にそう聞かれてあたしは鞄の中のパンを取り出した。


「パン? 最近は安くても千円はするだろ」


「うん……」


値段なんて見ずに盗んできたけれど、パッケージの価格には1300円と書かれている。


どこのコンビニやスーパーでも、置いてある商品はこのくらいの価格だ。


「盗んだのか」


そう言われてあたしは俯いた。


「生きるためには必要なことだ」


和文は淡々とした口調で言う。


「怒ったり軽蔑したりしないの?」


「別に。今はみんな生きることに必死だ。俺の家に食料があるってバレたらどうなるかわからない。だから、食べられない友達がいても無視してる」


和文はそう説明しながら戸棚からカップ―ラーメンを取り出してお湯を入れた。


外国産の見たことのない商品だ。