強制食料制度

行くあてなんてあるワケがない。


「俺の家に来るか?」


そう聞かれてあたしは和文を見つめた。


「本当に……?」


「あぁ」


だけど、あたしをかくまっていることが誰かにバレたら、きっと和文を巻き込むことになる。


良の時がそうだったように。


「遠慮しなくていい」


「家族の人に見つかるかも」


「大丈夫。俺の家、両親とも海外で働いてるから」


「海外……?」


和文は確か一人っ子だから、家には和文しかいないという事だ。