強制食料制度

あたしの腕はまだ掴まれたままだ。


これじゃ逃げられないと焦りを感じ始めていた。


「みんな心配してる」


和文の言葉にあたしは顔を上げた。


みんなからのメッセージを思い出す。


あたしのことを心配している内容なんて、ほとんどなかった。


「みんな、お腹が空いてるんでしょ」


そう聞くと、和文は答えられないようで黙り込んでしまった。


「……さっき早退したって言ったけど、本当は嘘なんだ」


「え?」


「今日から授業は午前中だけになった」