うそつきペン

春子はあたしたちよりも後方のグループにいたけれど、ついさっき追い抜かされてしまったのだ。


これ以上離されまいと、必死に手足を動かす。


景色を見るような余裕もなくなり地面ばかりに視線が向かう。


その瞬間だった。


「あぶない!」


隣からツグミの声が聞こえて来たとき、あたしの視界に自転車の車輪が見えていた。


ハッとして顔をあげると、自転車に乗った見知らぬ男性が驚いた顔であたしをみていた。


避ける暇なんてない。