そう言われてあたしは駅前の寂れた商店街を思い出していた。


両親が学生時代の頃は沢山のお店があったらしいけれど、今ではその半分くらいがシャッターを下ろしてしまっている。


年に何度かフリーマーケットを開催していてその時には人が大勢集まって来るけれど、日ごろは観光鳥が鳴いている。


そんな場所に新しくできたお店なんてあるんだ……。


「またボーっとしてる。そんなことだからアユリは春子に目を付けられるんだよ?」


お店についてぼんやり考えていたあたしにツグミが言った。


そうなのだ。


あたしはどこか人よりもぼんやりしているらしく、少し考え事をしているつもりでも随分時間が経過していたりする。