そうだ。


あたしは大切なペンを夕子から取り返すのだ。


あれはあたしのものなのだから。


「そう。なんだかよくわからないけれど、やることがあるのね?」


女性が穏やかな口調でそう聞いて来たので、あたしは大きく頷いた。


もう涙は引っ込んでいて、やるべきことに心がせいでいるのを感じる。


「あたし、行きます」


「えぇ。それがいいわ」


「ありがとうございました」


あたしは女性へ向けて深々と頭を下げ、文具店を後にしたのだった。