「夕子に盗られた……」


あたしは呟くようにそう言った。


女性は首を傾げている。


「あたしはペンをとても大切にしてたんです。それを盗るってことは夕子が犯人!」


あたしは声を大きくしてそう言った。


女性は驚いたようにあたしを見つめている。


どうしてペン1つでこんなに興奮しているのかわからなかった。


今までのイジメを考えれば文房具の1つや2つ壊されていてもおかしくない。


だけど今あたしの頭を支配しているのは盗まれたペンのことだけだった。


「あたしはそれを取り返さなきゃいけないんです!」


会話をしている間に、自分のやるべきことが明確に見えた気がした。