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「結局また持って帰っちゃった」


自室のテーブルの上に箱に入ったペンを置いて、あたしは小さな声で呟いた。


誰の物かわからないペンを使うことはできない。


かと言って、明日学校へこれを持って行き、誰の物か訊ねると言うのも……。


今日の掃除時間の出来事を思い出すと、なんとなくそれもしない方がいいような気がしてしまう。


万が一自分の物だと名乗り出るクラスメートがいたら、あたしは泥棒扱いされてしまうかもしれないのだから。


そうなれば、今日のからかい程度じゃ終わらなくなるかもしれない。


そう考えるよ、余計にこのペンを学校へ持って行くことはできなくなってしまった。


「しょうがないよね」


あたしは自分に言い聞かせるようにそう言い、ペンを机の引き出しの中へとしまい込んだのだった。