仁王立ちをしている春子はあたしを見下ろしている。


どこからか笑い声が聞こえて来た。


あたしを蔑んだ笑い声だ。


真治がヤジを飛ばしてくる。


夕子はジッとあたしを見つめているだけで、その胸ポケットにはなんの変哲もないペンが入れられている。


「あたしじゃ……ないのに……」


あたしは誰にも聞こえないような声でそう呟き……春子に向かって「ごめんなさい」と、頭を下げたのだった。