胸騒ぎを覚えてあたしはすぐに隆二から視線を背けた。


「隆二!」


朱里ちゃんが嬉しそうな声を上げる。


それは女の子を全面に押し出したような声色だった。


「なぁ、隣のクラスの黒牧ツグミってお前の友達だろ?」


隆二の口から出て来たツグミの名前に、あたしは再び顔を上げた。


その表情はひどく怒っている。


「そう……だけど……」


どうにか返事をするものの、隆二はまだあたしのノートを踏みつけたままだ。


これじゃ動くことができない。


「春子に頼まれて色々調べたら、最終的にお前の名前が出て来た」