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「なにしてるの?」


そんな声が聞こえてきてハッと息を飲んだ。


トイレの入り口に立っているのは夕子だ。


咄嗟にメモ帳をポケットに入れて隠す。


「ジュース頼んだのに、どうしてトイレにいるの?」


夕子はゆっくりと近づいてきながらそう言った。


「ちょっと寄ってただけ」


早口にそう答え、夕子の隣を通り過ぎて外へ出ようとする。


けれど夕子がそれを許すワケがなかった。


「さっきなにか隠したよね」


「別に何も」


そう言い終わらない内に、夕子の拳があたしの腹部にめり込んでいた。