しかし、あたしも負けてはいられない。


このまま言いなりになるワケがなかった。


必死で柱にしがみ付いて抵抗する。


その間に誰かが助けに来てくれるように祈って……。


「クソガキが!」


男が舌打ちした次の瞬間、あたしの体は柱から強引に引きはがされていた。


その拍子に体のバランスが崩れ、目の前に階段が迫っていた。


あっと思う暇だってなかった。


あたしの体は階段を落ち始め、あちこちに体をぶつけた。


その過程がまるでスローモーションのように流れて行くのに、自分の体を止める術はなかったのだった。