こんな事態なのだ、きっと警察を呼んでくれているはずだ。


「さっきからゴチャゴチャうるせぇな! さっさと歩けよ!」


男の怒号が廊下に響いてあたしはビクリと身をすくめた。


こんな大勢が見ている中で、どうしてこんなに堂々とした犯行が行えるんだろう。


この男は用意周到で他の仲間がすでに校内にいるのかもしれない。


そう思うと背筋が寒くなった。


絶対に逃げ出さなくちゃ!


そう思い、開いている方の手を伸ばして柱にしがみ付いた。


「なにしてんだよてめぇ! 手間かけさせんな!」


男は怒鳴り、あたしの体を柱から引きはがそうとする。