春子が教室内で浮くようになって、数日が経過していた。


相変わらず朱里ちゃんは春子を敵視しているけれど、春子はもうすっかり大人しくなってしまっていた。


掃除時間にあたしに文句を言ってくることなんてもちろんない。


少しミスをしたからと言ってイチイチ声をかけてくることもない。


あたしにとっては平穏そのものだった。


「隆二の怪我随分よくなったみたいだね」


友里恵ちゃんが椅子に座っている隆二を見てそう言った。


隆二は昨日から包帯を巻いて来なくなっていたし、歩き方も自然になっていた。


「そろそろ声をかけたらいいんじゃない?」


友里恵ちゃんは朱里ちゃんへ向けてそう言った。