ヒロイン失格者達のお茶会




1回は確かに失敗して、何かを失ったかもしれない。

ヒロインは失格したけれど、でも別のヒロインにはなれるかもしれない。


そのために私達は日々努力する、いつか幸せなヒロインになるために。



「「じゃあまた、次の金曜日の15時に」」



そう声を揃えて、椅子から立ち上がり屋敷の扉へと向かう。


ゆっくりと扉を開けると、2人の男性の姿と一匹のドラゴンの姿がそこにある。



「イザベラ様、お迎えに上がりました」


「ありがとう。今日は少しだけ寄り道……ううん、デートして帰りましょう?」


「エリカお嬢様。馬車は森の入口なのでそこまでエスコートします」


「べ、別に一人で歩けるわよ!……お、お前がどうしてもって言うならエスコートされてやってもいいわ」


「グォオオ……」


「……ワトソン、お迎えありがとうって、そ、そんなに鼻先擦り付けてこないで」



各々自分の帰りを待ってくれていた人の傍へと駆け寄り、幸せそうな表情を浮かべている。


一人、また一人と手を振りながら屋敷から帰っていき一人ポツンと取り残された。