叶わなくてもいいから、恋したい。

「佐川!」

そう叫ぶと佐川が振り返った。

「多賀谷……」

「お前、自分が何したか分かってんだろうな?」

「は?」

バンッ!

佐川をビンタしていた。

「………ってぇな。俺だってわかんねぇんだよ。」

「じゃあ、考えろよ。」

「てめぇに言われなくても考えてるよ。でも、わかんねぇんだよ。」

「お前は馬鹿か。りかのことを考えたのか?あいつがどんな思いでいるのかとか……考えたのかよ。」

「考えたよ!でも、西牧の気持ちがわかんねぇ。」

「りかはお前のせいで苦しんでんだよ。お前が余計なこと言うから、いつもあいつは泣いてんだよ。」

「…………俺はどうすればいいんだ。」

「前にお前が言ってただろ?好きな女、泣かせんなって。人にいう前に自分がしろよ。」

「あっそ。」

佐川はカバンを持って帰っていった。

あいつ、意味分かってんのかよ。